越境EC
新しい市場への出店を検討していると、魅力的な数字が並んだ記事に出会います。ただしその多くは、プラットフォーム自身またはその集客記事として書かれたものです。数字が嘘だと言いたいのではありません。定義と出典が示されていない数字は、比較にも意思決定にも使えないという話です。
実際に見かける3つの例
出典が自社である数字の例
- 01「月間アクティブ購入者の年間購入回数は37回」分母が何か(全登録者か、購入経験者か、当月購入者か)で意味が全く変わります。購入経験者に絞れば回数は当然上がります。
- 02「同じ商品で利益率が欧米より20%高い」個社の事例です。商材・価格帯・広告費・返品率のどれかが違えば再現しません。「20%高い」が絶対値か相対値かも示されていません。
- 03「ブランド認知度85%、リピート率80%」調査主体・対象・時期・質問文が示されていない認知率は、比較できません。リピート率も期間の定義次第で大きく変わります。
数字を見たときに確認する4点
- 01分母は何か率や平均は分母で決まります。分母の定義が書かれていない数字は保留にします。
- 02いつの期間か急成長中の市場では、半年前の数字が現状と一致しません。
- 03誰が測ったかプラットフォーム自身か、第三者調査か。第三者ならその調査会社と手法を確認します。
- 04自社に当てはまる条件かカテゴリー・価格帯・出荷形態が自社と違えば、同じ結果にはなりません。
では何を見るか
出店判断で本当に効くのは、宣伝されている成長率ではなく、自社の条件で計算できる数字です。手数料率、決済サイクル、返品規定、現地倉庫の保管費、必要な認証の取得費用、撤退するときのコスト。これらは公開情報や個別の問い合わせで確認できます。
魅力的な数字は入口の関心を作るためのもので、判断材料ではありません。関心を持ったら、自分の条件で計算し直す。この一手間を挟むかどうかが、新規市場での成否を分けます。
市場ごとの採算試算については市場調査レポートでお受けしています。