海外Amazonへの出店準備で必ず詰まるのが、ブランド登録(Brand Registry)と商標の関係です。「日本で商標を取ったから、そのままAmazon.comでも使える」と考えて進めると、途中で止まります。順番を間違えると数か月を失うため、着手前に整理しておく論点をまとめます。
前提:ブランド登録は「承認された知財庁の商標」が必要
ブランド登録には、登録済みまたは出願中の商標が必要で、その商標はAmazonが認めている政府の知財庁に出願されたものでなければなりません。未登録の慣習上の商標(コモンロー上の権利)やブランド名だけでは受理されません。米国では州レベルの商標も対象外で、USPTOの連邦登録が必要です。
日本の特許庁(JPO)は認められている知財庁に含まれます。したがって日本国内のAmazonであれば、日本の商標でブランド登録を進められます。
販売国が増えたら商標も増える
ブランド登録のアカウント自体は1つにまとめられます。ただし申請時に選べる知財庁は1つで、承認後に他国の商標を追加していく形になります。
国ごとの扱いで注意が必要な例
- 01米国(Amazon.com)米国内で権利として機能させるにはUSPTOの商標が必要です。日本の商標だけで日本と同じ保護が得られるわけではありません。
- 02英国(Amazon.co.uk)EU離脱後はEU商標だけでは足りず、英国知財庁(UKIPO)の商標が求められます。
- 03EU各国EUIPOの商標であればAmazonのEUマーケットプレイスをカバーできます。
- 04カナダ(Amazon.ca)カナダ知的財産庁(CIPO)の商標が必要です。
出願中でも申請できるが、できることは限られる
Amazonは対応知財庁への出願であれば、登録完了前の「出願中」の状態でも出願番号でブランド登録を受け付ける運用をしています。ただし出願中の段階ではツールへのアクセスは得られるものの、権利行使の面で制限があり、侵害の申告まで含めた完全な機能は登録完了後になります。
実務上の落とし穴が2つあります。1つは番号の種類です。USPTOの登録済み商標では、出願時のシリアル番号ではなく7桁の登録番号が求められます。もう1つは認証コードの送付先です。Amazonは商標の公式データベースに登録された権利者の連絡先へ認証コードを送るため、出願を代理人に依頼している場合、コードは代理人に届きます。ここを想定していないと審査が止まります。
2026年春からはFBAにも影響する
2026年春以降、メーカーのUPCバーコードをFBAで使う場合にブランド登録が必須になるとされています。これまで「ブランド登録は広告やA+のための任意の手続き」と捉えていた場合は、納品の前提条件として扱い直す必要があります。
商標の出願自体はAmazonへの登録とは別に特許庁への費用が発生し、弁理士に依頼する場合は報酬も加わります。どの国から出すか、いつ出すかは販売計画から逆算して決める話です。越境ECの立ち上げでは、この順番の設計から越境EC立ち上げでご支援しています。
参考:Amazon Brand Registry Requirements: Eligibility, Application Steps & Updates、Amazonブランド登録とは?申請方法・メリット・注意点/対象知財庁の最新一覧と国別の要件は、ブランド登録ポータル内の案内をご確認ください。