2026年9月13日

ロシアのSPOT制度は「中国から直接」には効かない。塞がれたのはEAEU経由の迂回路

越境EC

ロシア市場を検討していると、SPOT制度の話が必ず出てきます。ただし「ロシアへの輸入全般が厳格化した」という理解は不正確です。制度の射程を取り違えると、前提から間違えることになります。

SPOTが対象にしているもの

SPOTは2026年6月1日に本格運用が始まった、EAEU加盟国から自動車輸送で運び込まれる貨物を監視する国内制度です。運営は連邦税務局(FTS)で、連邦税関局(FCS)が監督にあたります。2026年4月1日からテスト運用が行われていました。

手続きの流れ

SPOTの運用

  1. 01事前通知輸入予定をFTSの情報システムへ通知します(DPP/納品予定書類)。
  2. 02保証金の納付輸入前に保証金を納めます。VAT相当額の前払いが必要です。
  3. 03QRコードの取得通知と納付が完了するとQRコードが発行されます。
  4. 04国境での提示QRコードを運送業者へ渡し、税関の求めに応じて提示します。QRコードがなければ、移動監視班が貨物を引き返させます。

対象はLLC・JSC・個人事業主を問わず、税制の区分にも関わりません。300万ルーブルの貨物であればVATは約66万ルーブルで、これを国境通過の数日前に納付しておく必要があります。

何が失われたのか

これまでEAEU経由のルートには、輸入VATを回避できるという実利がありました。仲介業者を使った名義の付け替えや貨物スキームは、この点を前提に組まれていたものです。前払いが必須になったことで、その利点が消えました。

2026年6月1日本格運用の開始
2026年4月1日テスト運用の開始
2026年10月31日ベラルーシ産品の保証金免除の期限
経過措置として保証金の義務が一時免除されていました(2026年5月29日付 政令641号)。EAEU産品は6月30日まで、ベラルーシ産品は10月31日までとされています。

ロシア市場を検討する場合、SPOTの有無より先に、決済・送金・制裁関連の確認が必要です。制度の射程を正しく理解したうえで、それでも入る価値があるかを個別に判断してください。

参考:SCHNEIDER GROUP「SPOT: New Rules for Imports from the EAEU」AKM

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