繁忙期に商品が突然出品停止になる原因のひとつが、意匠特許(design patent)の侵害申立てです。厄介なのは、自社が何も変えていなくても起きることです。他社が新しく意匠権を取得すれば、それまで問題なく売れていた形状が翌日から侵害の対象になり得ます。
なぜ繁忙期の直前に増えるのか
意匠特許は出願から登録まで概ね1年前後かかります。繁忙期に合わせて権利を効かせたい出願人は、逆算して出願します。結果として、9月から10月にかけて登録される意匠のなかに、その年の繁忙期商材を狙ったものが混じります。
2026年9月1日に登録された例
知的財産サービス会社の方信国際知識産権が公開したリストでは、2026年9月1日付で登録された米国意匠特許として次のものが挙げられています。照明・玩具・キッチン用品という、まさに年末商戦の主力カテゴリーです。
公開されたリストの例
- 01US D1146122 Sシリコン製ナイトライト(傘の形状)。2025年6月10日出願。
- 02US D1146121 Sランタン。2024年11月19日出願。
- 03US D1146125 Sシリコン製ナイトライト(熊の形状)。2025年6月18日出願。
- 04US D1145910 S玩具。
- 05US D1145911 Sワッフル型の指先玩具。
- 06US D1145521 Sラップカッター。
- 07US D1145511 S缶切り。
このリスト自体は一次情報ではありません。ただし意匠特許番号は公開情報なので、USPTOのPatent Public Searchで番号を入力すれば、図面と権利範囲を自分で確認できます。人づてのリストを信じるのではなく、番号から原本に当たるのが正しい確認手順です。
自社でやっておく確認
- 01主力SKUの形状的な特徴を言語化する「どこが独自か」を説明できないと、他社の意匠と似ているかどうかも判断できません。
- 02カテゴリー単位で新規登録を定期的に見るUSPTOの検索で自社カテゴリーの意匠を定期的に確認します。繁忙期の2〜3か月前は特に。
- 03OEM先の提案を鵜呑みにしない工場側が提示する「売れている形」は、他社の意匠権が及んでいる形である可能性があります。
- 04申立てを受けたときの窓口を決めておく繁忙期に出品停止が起きたとき、誰が弁理士に連絡し、誰が代替出品を用意するかを事前に決めておきます。
自社ブランドの企画・製造を行う立場では、この確認は設計段階に組み込むべき工程です。メーカー事業では、こうした事前確認を含めた商品企画をお受けしています。
参考:雨果跨境「旺季专利雷区已更新」(方信国際知識産権、2026年9月11日)/個々の特許の内容はUSPTO Patent Public Searchでご確認ください。当社では各番号の個別検証は行っていません。