IPIは「売れた量」ではなく「在庫の使い方」を見ている指標だ。 売上が伸びていても、在庫を積みすぎれば下がる。400を割ると翌四半期の納品枠が減り、繁忙期の入庫計画がそのまま崩れる。
しかも、在庫量で勝負しても分が悪い。工場直結の価格で在庫を厚く持てる中国系セラーと同じ土俵では、資金の厚みで負ける。 こちらが取るべきは物量ではなく回転だ。同じ現金を、より多く回す。 その管理がそのままIPIになる。
結論
- IPIは売上ではなく在庫の使い方を見る指標で、400を割ると翌四半期の納品枠が減る。
- 下がったときは、余剰在庫の処理と売れ筋の欠品防止を同時に進める。切る順番と補充の順番を一緒に決める。
- 発注点は日販×(リードタイム+安全在庫日数)で決め、発注額と手元資金の比率で上限を決める。
まずやること
- 在庫パフォーマンス画面で現在のスコアと4指標を見る
- 余剰在庫の一覧から、保管日数の長いSKUを10件出す
- その10件を、値下げ・返送・廃棄のどれにするか決める
- 売れ筋の欠品を止める(在庫あり率はスコアに直接効く)
- 発注点を回転日数から計算して表に書く
IPIを構成する4つの指標
スコアは単独の数字ではなく、4つの指標の組み合わせで決まる。どこが足を引っ張っているかで、打ち手は変わる。
| 指標 | 下がる原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 余剰在庫率 | 売れない在庫を抱えている | 値下げ・返送で切る |
| セルスルー率 | 入荷に対して販売が遅い | 納品量を減らす |
| 滞留在庫率 | 長期保管の在庫がある | 古いSKUから処理 |
| 在庫あり率 | 売れ筋が欠品している | 補充の優先順位を上げる |
4つは連動する。 余剰を切ると在庫あり率が一時的に下がるため、切る順番と補充の順番を同時に決める。
評価されるタイミング
判定は常時ではなく、四半期の終わり近くの2つの時点で行われる。両方でしきい値を下回ると、翌四半期の保管制限が適用される。逆に、どちらか一方で上回っていれば制限は避けられる。
ただし、判定日の直前に対策しても間に合わない。 スコアは過去の在庫状況を反映するため、動き出すのは期末の1ヶ月前が限度だ。期中に余剰を処理しておくのが、いちばん確実な方法になる。
下がったときに手を付ける順番
IPIを戻す優先順位
- 01余剰在庫を特定する保管日数の長いSKUから10件
- 02SKUごとに処分を決める値下げ・返送・廃棄の3択
- 03売れ筋の欠品を止める在庫あり率は即効性がある
- 04納品量を回転日数から逆算する感覚で送らない
1つ目と2つ目は同時に進める。余剰を切る判断と、売れ筋を補充する判断は別ものだからだ。切るだけだと在庫あり率が落ち、補充するだけだと余剰が増える。
余剰の処理は「時間と損失」で選ぶ
3択は、どれが正解というものではない。どれだけ早く現金に戻せるか、どれだけ損を確定させるかで選ぶ。
| 方法 | 損失 | 手間 | 向いている在庫 |
|---|---|---|---|
| 値下げ | 中 | 小 | 需要がまだある在庫 |
| 返送 | 大(運賃) | 大 | 単価が高く再販できる在庫 |
| 廃棄 | 大 | 小 | 再販が見込めない在庫 |
判断に迷うなら値下げから試す。 値下げで動けば損失は小さく、動かなければ返送か廃棄に進めばいい。
在庫水準を回転日数から決める
感覚で納品量を決めると、余剰と欠品を交互に繰り返す。式は1本で足りる。発注点 = 1日の販売数 ×(リードタイム + 安全在庫日数)。
たとえば1日3個売れ、リードタイムが45日、安全在庫を30日見るなら、発注点は225個。この数を下回ったら補充し、上回っているなら追加の納品を止める。
ここに資金の上限を足す。1回の発注額が手元資金を圧迫するなら、発注点を守っていても資金が回らない。「発注額 ÷ 手元資金」をSKUごとに出し、上限を決めておく。 在庫は利益ではなく、現金の置き場所だ。
在庫を絞りすぎても罰則がある
低在庫レベル手数料は、過去90日と過去30日の在庫日数がどちらも28日を下回る場合に発生する。IPIを上げようとして在庫を薄くしすぎると、今度はこの手数料に当たる。新規セレクションは、最初の在庫受領日から180日間は対象外という猶予もある。
つまり、在庫は多すぎても少なすぎてもコストになる。 保管費・低在庫レベル手数料・欠品による機会損失の3つを同じ表に並べる。その表が、SKUごとの在庫水準の答えになる。
よくある質問
IPIが400を下回るとどうなりますか?
翌四半期の納品枠が減り、繁忙期の入庫計画が崩れる。判定は四半期の終わり近くの2つの時点で行われ、両方で下回ると保管制限が適用される。
在庫を減らしすぎると手数料はかかりますか?
低在庫レベル手数料が発生する。過去90日と過去30日の在庫日数がどちらも28日を下回ると対象で、新規セレクションは受領日から180日間は対象外になる。
発注点はどうやって決めますか?
発注点=1日の販売数×(リードタイム+安全在庫日数)。1日3個・リードタイム45日・安全在庫30日なら、225個が目安になる。
FBAの基本はFBAとは何か、採算の計算はFBAの料金シミュレーションにまとめた。
在庫パフォーマンス指標(IPI)とは何か
在庫パフォーマンス指標(IPI)は、Amazonが「在庫をうまく回せているか」を点数で示す指標です。セラーセントラルの在庫パフォーマンス画面で確認でき、点数が低いと納品できる数量(保管上限)が減ります。IPIは「売れているか」ではなく、在庫の回転・売れ残り・欠品のバランスを見ている点が特徴です。
点数を上げる順番は、①売れ残りの処理、②欠品の解消、③納品計画の見直しです。値下げで在庫を流すより、そもそも入荷数を抑えるほうが早く効きます。
在庫日数と発注点の決め方はAmazonの在庫管理にまとめた。
まとめ:今週やること
在庫水準を整える順番
- 01現在のスコアを確認する在庫パフォーマンス画面
- 02余剰の上位10件を出す保管日数の長い順
- 03処分の基準を決める値下げから試す
- 04発注点を計算する日販×(リードタイム+安全在庫)
- 05資金の上限を決める発注額÷手元資金
FBAの在庫構成の見直しは、サービスページで相談できます。
※数字の出典:https://sellercentral.amazon.com/help
アカウントの健全性が落ちたときの対応はAmazonアカウント停止の通知が届いたらにまとめた。