2026年10月16日

中国発の航空貨物運賃、米国向けは欧州向けより61%高い。Q4のFBA補充はどこまで航空便にするか

越境EC

10月13日、Freightosの週次データで中国発・北米向けの航空貨物運賃が前週比3%上がって1kgあたり5.77ドル、欧州向けは7%下がって3.58ドルになった。同じアジア発の貨物で、米国向けは欧州向けより約61%高い。

同じ日に、米国のQ4運賃指数(AFS LogisticsとTD Cowen)も公表された。地上宅配の1個あたりコストは2018年1月の基準を43.3%上回り、過去最高の見通し。FedExの年末需要サーチャージは10月26日から始まり、11月23日から12月27日は1個あたり0.80ドルに上がる。

日本のメーカーがQ4に米国Amazonの在庫を積み増すとき、この3つ(航空・海上・米国宅配)は「どこまで航空便で埋めるか」の判断に直接効く。数字の向きと、先にやっておくことを整理する。

結論

  1. 中国発の航空運賃は北米向け5.77ドル、欧州向け3.58ドルで、北米が約61%高い。
  2. 米国向けは前週比3%上がり、欧州向けは7%下がった。海上はこの先、緩む方向に傾いている。
  3. 欠品しそうな分だけを航空で送り、残りは船にする。安いか高いかではなく売り逃しと比べる。

何が起きたか:運賃の向きと、宅配のカレンダー

まず航空。同じ中国発の路線で、北米向けは上、欧州向けは下へ動いた。水準そのものより、行き先で向きが分かれたことが重要だ。

航空貨物運賃の水準(1kgあたり・2026年10月13日)

中国→北米$5.77
中国→欧州$3.58
欧州→北米$2.18
いずれもFreightosの指標値。中国発の2路線と、欧州→北米の路線。

海上はピークの出口に差しかかっている。アジア→米国西岸は前週比2%下がって8,149ドル/FEU。7月から続いたピーク水準のままだが、米国東岸は9,606ドル、アジア→北欧は3,260ドルで横ばい。全米小売業協会(NRF)は11月の米国向け入荷量が前月比11%減ると予測しており、運賃はこの先、緩む方向に傾いている。一方、アジア〜欧州の海上運賃は前年比約70%高い水準のまま、2027年の年契約の交渉時期に入った。

米国の宅配は、年末の料金カレンダーがすでに出ている。FedExの需要サーチャージは次のとおり。

期間地上(Ground Residential / Home Delivery)
10月26日〜11月22日1個あたり0.50ドル
11月23日〜12月27日1個あたり0.80ドル
12月28日〜2027年1月17日1個あたり0.50ドル

翌日系サービスは1個1.30ドルから2.55ドルへ、Ground Economyは2.55ドルから4.05ドルへと、地上より大きく動く。これらは送料そのものではなく、基本運賃に上乗せされる追加料金だ。請求額は契約条件と使うサービスで変わる。

なぜ米国向けだけ高いのか

Freightosの分析では、欧州路線の下落は7月にEUの少額免税(de minimis)が終わったことが一因とされる。越境のeコマース物量が減り、欧州向けの航空運賃を押し下げている。逆に北米路線へは、AI関連を含む物量の伸びと、欧州路線からシフトしてきた貨物機の供給が向かっている。東南アジア発・北米向けは前年比40%高で、太平洋路線の需要の強さが数字に出ている。

航空運賃全体の水準も高い。Freightosの世界ベンチマークは前年比33%高で、燃料費と物量の両方が効いている。

地政学のリスクも残る。中東ではサウジの空港への攻撃で一部のハブの貨物に混乱が出ているが、Freightosは「サウジは主要な積み替え拠点ではないため、市場全体への影響は限定的」との見方を示す。

海上は逆に、ファーイーストと北欧の混雑が運賃を下支えしている。「安い海上運賃」と「着日が読める海上運賃」は別物だ。安くても入荷が遅れれば、欠品した分の売上は戻ってこない。

公表レートは「請求額」ではない

ここが実務でいちばん誤解される。公表レートは空港間の平均値で、集荷・輸出取扱・通関・関税・最終配送を含まない。実際の請求額は、空港ペア・サービスレベル・見積もりの有効期限・課金重量で変わる。

課金重量が曲者だ。1,000kgで5,770ドル(5.77ドル×1,000kg)の見積もりが、体積換算で1,250kgの請求になれば同じレートで7,212ドル。レートは動いていないのに、基準が変わって請求が増える。その1,250kgで2,000個を運ぶなら、1個あたり3.61ドルの計算になる。

だから見積もりは「全部込みの1本」で取らない。集荷・輸出取扱・本運賃・通関・関税・最終配送に分解して、どこが上がったのかを確認する。

今すぐやること

  1. 発注点から逆算する。 在庫が切れるまでの必要数だけを航空で見積もる。「入荷が10日遅れる200個」と「丸ごと2,000個」は別の判断だ
  2. 米国と欧州を別々に試算する。 61%の差がある状態でブレンドした輸送費前提を使うと、どちらかの市場で必ず間違える
  3. 同一条件の見積もりを2本取り、有効期限を書面で確認する。 空港ペア・サービスレベル・寸法を揃え、積み残し(ロール)や重量超過時の扱いも先に聞く
  4. 入荷予約と販売可能日を確認する。 早く着いても入荷で止まれば、払った輸送費は回収できない
  5. 10月26日以降の最初の請求書を突き合わせる。 サーチャージの実額を確認してから、価格・梱包・プロモーションを調整する

補足:FBA補充は「別の計算」

AFS/TD Cowenの指数は米国の宅配市場の数字であり、Amazonの配送代行手数料ではない。見るべきは自前で買っている輸送だ。工場や自社倉庫からAmazonへの搬入、倉庫間の移動、FBMの出荷が対象になる。Amazon自身の繁忙期手数料は10月15日から別枠で始まっている。契約しているフォワーダーや3PLには、請求書を「基本運賃・燃料・予約手数料」に分解してもらうと、値上がりの出どころが見える。

いま起きているのは、米国向けの輸送費が高いまま続くという変化だ。EUの免税廃止で欧州向けの荷物が減り、飛行機の輸送力が米国向けに回っている。この流れは、すぐには戻らない。

だからQ4は、欠品しそうな分だけを飛行機で、残りは船でと分けるのが現実的だ。大事なのは「安いか高いか」ではなく、売り逃す損失と輸送費を比べて決めることだ。

よくある質問

米国向けの航空運賃は欧州向けよりどれくらい高いですか?
中国発で北米向けが1kgあたり5.77ドル、欧州向けが3.58ドルで、約61%の差があります。

米国の宅配サーチャージはいつから、いくらですか?
FedExの地上向けは10月26日開始で0.50ドル、11月23日〜12月27日は0.80ドルに上がります。

宅配サーチャージはFBAの配送代行手数料にもかかりますか?
いいえ。今回のサーチャージは米国国内向けで、FBAの配送代行手数料には適用されません。

まとめ:今週やること

今週やること

  1. 01運賃の向きを確認する北米向けは上・欧州向けは下。同じ前提で2市場を見ない。
  2. 02欠品までの必要数を航空で見積もる発注点から逆算し、丸ごと航空にしない。
  3. 03見積もりは同一条件で2本・有効期限つき分解して、どこが上がったのかを確認する。
  4. 0410月26日以降の最初の請求書を突き合わせるサーチャージの実額で、価格と梱包を見直す。

※数字の出典:https://www.ajot.com/news/freightos-weekly-update-attacks-disrupt-saudi-air-cargo-china-europe-air-rates-slump

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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