2026年10月30日

EUの包装規制が2026年8月に適用開始。Amazon欧州で売る人の登録番号と適合宣言を整理

規制・コンプライアンス

2026年8月12日、EUの包装と包装ごみの規則(PPWR、EU規則2025/40)が適用された。 Amazon欧州で包装付きの商品を売る人は「生産者」とみなされる。売る国ごとに登録番号を取り、包装の量を報告し、リサイクル費用を払う義務がある。登録番号をAmazonに出すだけでは終わらない。 包装の種類ごとに「EU適合宣言」を作り、根拠の技術文書を保管する義務が新たに加わった。

対象は、ドイツ・フランス・イタリア・スペインなどEU域内に発送するすべての出品者だ。FBA(Amazonに在庫を預けて発送してもらう方法)でも、自分で発送するFBM(自分で在庫を持ち、注文ごとに発送する方法)でも同じだ。未対応なら、Amazonが該当商品の販売を止めることがある。Pan-EU(欧州各国の在庫をまとめて配送する仕組み)は、独・仏・伊・西・蘭の5カ国で不備が出ると、その商品の権利を失う。

結論

  1. 適用は2026年8月12日。登録番号は、包装品を売る国ごとに要る。
  2. Amazonへの提出だけでは足りない。包装タイプごとの適合宣言と技術文書が別に要る。
  3. 未提出なら販売停止。Pan-EUは5カ国で不備が出た時点で対象商品が外れる。

まずやること

  1. 欧州で売っている国を書き出す。まずは独・仏・伊・西・蘭の5カ国
  2. Amazonの「アカウント健全性 > 規制コンプライアンス」で国ごとの番号の状態を見る
  3. 包装を「タイプ」で分ける。同じ箱・同じ袋なら1つにまとめる
  4. サプライヤーに材質・重量・試験成績の資料を頼む。これが一番時間がかかる
2026年8月12日規則の適用開始(登録・報告・適合宣言)
2030年全包装のリサイクル可能化と再生材の下限
5年使い捨て包装の技術文書の保管期間
10年再利用包装の技術文書の保管期間
PPWRの主な期限。日付と保管期間はEU規則、Amazonの公式ヘルプによる。

何が変わったか

PPWRは2025年1月22日に公布され、2025年2月11日に発効した。適用開始は2026年8月12日で、1994年の包装・包装ごみ指令(94/62/EC)を置き換える。EUの公式ページは、包装ごみが2024年に1人あたり181kg(約0.18t)出たことを背景に挙げる。

Amazonは公式ヘルプで、出品者に次の3つを求めている。

何を内容いつ
登録売る国ごとに登録番号(ERN)を取る販売する前
報告包装の量・素材・重量・再利用の可否を出す通常は年1回
費用リサイクル費用(環境貢献金)を払う報告の後

「生産者」の定義が広い。 その国で最初に包装品を市場に出す人が生産者で、メーカーも輸入者も含む。会社がEU域外にあっても、ネット通販でも同じだ。Amazonのヘルプは「非EUの生産者は、国によっては代理人の設置が必要になる」としている。

提出は、Amazonの「アカウント健全性 > 規制コンプライアンス」から「EPR: [国名] Packaging」を選び、登録番号を入れる。番号が公開登録簿に載るまで最大72時間かかる。 載る前に提出すると無効になり、再提出が要る。審査は公開登録簿のある国で5営業日以内に返る。

なぜ「番号」だけでは足りないのか

登録番号は、リサイクル費用を誰が払うかを決める仕組みだ。包装そのものが基準を満たすかは、別の書類で示す。 これがPPWRで新しく加わった「EU適合宣言」(EUの基準に合っていると自ら宣言する書類)で、第15条が製造者に作成を求め、様式は附属書VIII(規則の添付資料)にある。

宣言は包装タイプごとに1枚で、SKU(商品ごとの管理番号)ごとではない。同じ化粧箱と緩衝材を使う10SKUなら、宣言は1枚でよい。ボトル・キャップ・ラベルは1つの包装単位としてまとめ、部品ごとの情報を宣言に入れる。ブランド名を出している人が製造者で、中国の工場ではない。

宣言の根拠が、附属書VIIの技術文書だ。中身は、包装の説明、図面と材質、適用した規格の一覧、リサイクル性・減量化・再利用の評価方法、試験成績である。外部の検査機関による事前審査は要らない。 自分で評価して作り、当局から求められたら出す。

実務で確認すること

1. 国ごとの番号を1枚の表にする。 国・登録番号・状態(承認/却下/未提出)・代行支払いの可否・年間出荷数・包装重量を並べる。まずはPan-EUの5カ国から埋める。

2. 「生産者ではない」選択肢を確認する。 Amazonのヘルプは、スペイン・フランス・オランダ・ベルギー・スウェーデン・ポーランド・イタリア・アイルランドで、仕入れ先が上流で義務を果たしていれば「非生産者」として仕入れ先の番号を出せるとする。ドイツにはこの扱いがない。自社が最初に市場に出すなら、生産者になる。

3. 包装タイプを洗い出す。 商品箱、袋、緩衝材、テープ、ラベルまで数える。同じ材質でも形が違えば別のタイプだ。タイプが3つなら宣言は3枚で、SKUが30でも3枚で済む。

4. 報告する重量を計算する。 1出荷あたり、箱120g・紙の緩衝材30g・テープ5gなら合計155g。月800出荷なら124kg、年換算で約1.49tになる。素材ごとに分けると、紙150g・プラスチック5gだ。この数字が報告と費用の基礎になる。

5. 代行支払いの設定を確認する。 Amazonの代行支払い(Pay on Behalf)が使える国でも、番号の取得と提出は必須だ。Amazonが2026年3月に出した越境セラー向けの公式ガイドは、独・ベルギー・ポーランド・スウェーデン・オランダ・アイルランドでは代行がなく、自分で登録が必要とする。提出後に「Use Amazon EPR Pay on Behalf」を選んだかを確認する。

よくある質問

EUに会社がなくても生産者になりますか?
なります。その国で最初に包装品を市場に出す人が生産者です。会社の所在地は関係なく、FBAでも自分で発送しても同じです。

登録番号を出せば終わりですか?
終わりません。番号は費用の仕組みで、包装の基準は別です。包装タイプごとの適合宣言と技術文書を保管してください。

昔のLUCID番号は使えますか?
2026年3月時点で、有効な番号は再提出不要とAmazonが説明しています。ただし各国の運用は変わりうるため、最新のヘルプで確認してください。

番号を取りに行く作業と、包装を説明できるようにする作業は、別の部署の仕事に見える。だが、当局が見るのは「この包装がなぜ基準を満たすのか」を10日で説明できるかどうかだ。登録番号は入口にすぎない。

今週やるべきは、書類を揃えることではない。包装をタイプに分け、サプライヤーに資料を求めることから始める。番号は国ごと、宣言はタイプごと。2つの台帳を分けて作ると、抜けが見つかる。

まとめ:今週やること

包装の登録と宣言を揃える順番

  1. 01売っている国と番号の状態を1表にするPan-EUの5カ国から
  2. 02包装タイプを洗い出す箱・袋・緩衝材・テープ・ラベル
  3. 03サプライヤーに資料を依頼する材質・重量・試験成績
  4. 04技術文書と適合宣言を作るタイプごとに1枚、自己評価でよい
  5. 05保管期間を決める使い捨て5年、再利用10年

EUの輸入責任はプラットフォームのみなし輸入者の記事で整理している。包装を含めた欧州の実務相談はサービスページからどうぞ。

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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