2026年10月28日

FBAの料金シミュレーションを自分で作る。計算式と、間違えやすい4つの落とし穴

Amazon運用

FBAの採算は、4層の費用を「販売のたび」と「置いている間」に分けて計算すると見える。 販売手数料と配送代行手数料は売れるたびに引かれ、保管料は置いている限り毎月かかる。この2種類を同じ表で足し算すると、回転の遅い商品ほど実際より甘く見える。

ここでは、表計算ソフトで再現できる計算式と列の作り方、そして間違えやすい4つの落とし穴を整理する。金額は必ずAmazonの料金表の最新値に置き換えて使う(料率・単価は改定される)。

結論

  1. FBAの費用は販売手数料・配送代行手数料・保管料・返品処理の4層。売れるたびと毎月の2種類に分けて計算する。
  2. 1個あたりの粗利は売価 − 原価 − 販売手数料 − 配送代行手数料 − 保管料(1個あたりに割る)− 広告費(1個あたりに割る)。
  3. 一番の落とし穴は保管料の1個あたりの負担。月の販売数が少ないほど1個あたりの負担が増え、黒字が赤字に変わる。

まずやること

  1. 候補商品のサイズと重量を測り、配送代行手数料の区分を料金表で確認する
  2. 売価・原価・カテゴリの販売手数料率を1行に並べる
  3. 月の販売数を現実的に見積もり、保管料を「月額÷販売数」で割る
  4. 広告費を「広告経由の売上比率」で割り振りして、1個あたりの粗利を出す
4層販売手数料・配送代行・保管料・返品処理
2種類売れるたび(変動費)と毎月(固定費)
1個あたりに割る保管料・広告費は販売数で割る
181日長期保管の附加料が始まる目安
計算に使う4つの入力。金額は例示であり、実際はAmazonの料金表の最新値を使う。

計算式:1個あたりの粗利

式は1本だが、割り方の扱いで意味が変わる。

1個あたり粗利
 = 売価
  − 原価(仕入れ+輸送+関税)
  − 販売手数料(売価 × カテゴリ料率)
  − 配送代行手数料(サイズ区分 × 重量)
  − 保管料(月額 ÷ 月の販売数)
  − 広告費(広告費 ÷ 広告経由の販売数)

上から順に引く。 途中で合計を出さないのがコツで、どの費用が重いかが一目で分かる。

表計算の列構成(そのまま作れる)

1商品1行で作り、列は次の順に並べる。左から右へ計算が流れる形にすると、どこで赤字になったか分かる。

列中身例(仮の数字)
A商品名例:A4サイズの収納ケース
B売価2,980円
C原価(輸送・関税込み)900円
D販売手数料率15%
E配送代行手数料400円
F月額保管料60円
G月の販売数40個
H広告費(月)12,000円
I広告経由の割合50%

計算列は3つで足りる。

  • 販売手数料 = B × D
  • 販売数で割った保管料 = F ÷ G
  • 広告経由の販売数で割った広告費 = H ÷ (G × I)
  • 粗利 = B − C − (B×D) − E − (F÷G) − (H÷(G×I))

この表の強さは、G(販売数)を変えると結論が変わることだ。月40個の想定が月10個になると、保管料の1個あたりの負担は4倍になる。「売れたら黒字」ではなく「これだけ売れないと赤字」が見える。

落とし穴1:保管料を割り振りしない

一番多い間違いがこれ。月額保管料を「1個あたりの固定費」として足すと、販売数が減ったときの苦しさが見えない。

  • 月額保管料60円・月40個 → 1個あたり1.5円
  • 同じ商品が月10個 → 1個あたり6円

4.5円の差は小さいように見えるが、粗利が100円の商品では4.5%。値下げの余力を消す。

落とし穴2:返品処理を無視する

返品は「返金されるだけ」ではない。返品処理の手数料と、戻ってきた在庫の扱いが残る。返品率が5%なら、その分の処理費と、再販できない在庫の損失を粗利に反映させる。

計算式に1行足すなら「粗利 × (1 − 返品率) − 返品1件あたりの処理費 × 返品率」になる。細かいが、低単価商品ほど効く。

落とし穴3:広告費を全体で割る

広告費を「売上全体」で割ると、広告で売れていない商品の粗利まで下がって見える。逆に、広告依存の商品は実態より良く見える。

割る数(分母)は「広告経由の販売数」にする。ここを間違えると、広告を止めるべき商品と伸ばすべき商品を取り違える。

落とし穴4:長期保管の附加料を別枠にする

181日を超えると附加料が乗る。これを「別の費用」として扱うと、普段の採算計算に入らない。

在庫日数が150日を超えたら、その商品の粗利から附加料を見込んで引く。判断の期限は181日ではなく150日と覚えておくと動きやすい。

Amazonの公式ツールと、自前の表の使い分け

Amazonにも収益計算のツールはある。公式ツールは「その時点の料金」を反映するので正確だが、自分の販売計画(何個売るか、広告をいくら使うか)を入れた比較はしにくい。

実務では2つを併用する。

  • 公式ツール:手数料の正解を確認する(料金改定のたびにここで更新)
  • 自前の表:販売数・広告費を変えたときの粗利の変化を見る

自前の表は、料金改定のたびに手数料の列だけ更新する。その他の列(原価・売価・販売計画)は使い回せる。

よくある質問

FBAの手数料は何種類ありますか?
販売手数料・配送代行手数料・保管料・返品処理の4種類です。売れるたびにかかるものと、毎月かかるものに分かれます。

1個あたりの粗利はどう計算しますか?
売価から原価・販売手数料・配送代行手数料・保管料(1個あたりに割る)・広告費(1個あたりに割る)を順に引きます。保管料は月額を販売数で割って割り振りします。

シミュレーションの数字はどこで確認しますか?
配送代行手数料と保管料はAmazonの料金表で確認してください。料率や単価は改定されるため、計算のたびに最新値へ更新します。

手数料の4区分はFBA手数料の全体像で整理している。

赤字の原因を切り分ける手順はFBAで儲からない原因を参照。

納品の実務はFBA納品のやり方にまとめている。

Amazon運用の全体像と読む順番はAmazon運用の教科書にまとめた。

計算を手早く済ませたい場合はFBA粗利計算シート(無料テンプレート)を使うと、数字を入れるだけで粗利が出る。

まとめ:今週やること

FBAの採算表を作る手順

  1. 01サイズと重量を測る配送代行手数料の区分を確認
  2. 02売価・原価・料率を1行に入れる表計算のA〜E列
  3. 03販売数と広告費を入れるF〜I列。ここが判断の肝
  4. 041個あたりに割る保管料÷販売数、広告費÷広告経由数
  5. 05販売数を半分にして試す赤字に変わる点を探す

FBAの採算設計と価格の決め方は、サービスページで相談できます。FBAの基本と保管コストの記事もあわせてどうぞ。

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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