FBAの採算は、4層の費用を「販売のたび」と「置いている間」に分けて計算すると見える。 販売手数料と配送代行手数料は売れるたびに引かれ、保管料は置いている限り毎月かかる。この2種類を同じ表で足し算すると、回転の遅い商品ほど実際より甘く見える。
ここでは、表計算ソフトで再現できる計算式と列の作り方、そして間違えやすい4つの落とし穴を整理する。金額は必ずAmazonの料金表の最新値に置き換えて使う(料率・単価は改定される)。
結論
- FBAの費用は販売手数料・配送代行手数料・保管料・返品処理の4層。売れるたびと毎月の2種類に分けて計算する。
- 1個あたりの粗利は売価 − 原価 − 販売手数料 − 配送代行手数料 − 保管料(1個あたりに割る)− 広告費(1個あたりに割る)。
- 一番の落とし穴は保管料の1個あたりの負担。月の販売数が少ないほど1個あたりの負担が増え、黒字が赤字に変わる。
まずやること
- 候補商品のサイズと重量を測り、配送代行手数料の区分を料金表で確認する
- 売価・原価・カテゴリの販売手数料率を1行に並べる
- 月の販売数を現実的に見積もり、保管料を「月額÷販売数」で割る
- 広告費を「広告経由の売上比率」で割り振りして、1個あたりの粗利を出す
計算式:1個あたりの粗利
式は1本だが、割り方の扱いで意味が変わる。
1個あたり粗利
= 売価
− 原価(仕入れ+輸送+関税)
− 販売手数料(売価 × カテゴリ料率)
− 配送代行手数料(サイズ区分 × 重量)
− 保管料(月額 ÷ 月の販売数)
− 広告費(広告費 ÷ 広告経由の販売数)上から順に引く。 途中で合計を出さないのがコツで、どの費用が重いかが一目で分かる。
表計算の列構成(そのまま作れる)
1商品1行で作り、列は次の順に並べる。左から右へ計算が流れる形にすると、どこで赤字になったか分かる。
| 列 | 中身 | 例(仮の数字) |
|---|---|---|
| A | 商品名 | 例:A4サイズの収納ケース |
| B | 売価 | 2,980円 |
| C | 原価(輸送・関税込み) | 900円 |
| D | 販売手数料率 | 15% |
| E | 配送代行手数料 | 400円 |
| F | 月額保管料 | 60円 |
| G | 月の販売数 | 40個 |
| H | 広告費(月) | 12,000円 |
| I | 広告経由の割合 | 50% |
計算列は3つで足りる。
- 販売手数料 = B × D
- 販売数で割った保管料 = F ÷ G
- 広告経由の販売数で割った広告費 = H ÷ (G × I)
- 粗利 = B − C − (B×D) − E − (F÷G) − (H÷(G×I))
この表の強さは、G(販売数)を変えると結論が変わることだ。月40個の想定が月10個になると、保管料の1個あたりの負担は4倍になる。「売れたら黒字」ではなく「これだけ売れないと赤字」が見える。
落とし穴1:保管料を割り振りしない
一番多い間違いがこれ。月額保管料を「1個あたりの固定費」として足すと、販売数が減ったときの苦しさが見えない。
- 月額保管料60円・月40個 → 1個あたり1.5円
- 同じ商品が月10個 → 1個あたり6円
4.5円の差は小さいように見えるが、粗利が100円の商品では4.5%。値下げの余力を消す。
落とし穴2:返品処理を無視する
返品は「返金されるだけ」ではない。返品処理の手数料と、戻ってきた在庫の扱いが残る。返品率が5%なら、その分の処理費と、再販できない在庫の損失を粗利に反映させる。
計算式に1行足すなら「粗利 × (1 − 返品率) − 返品1件あたりの処理費 × 返品率」になる。細かいが、低単価商品ほど効く。
落とし穴3:広告費を全体で割る
広告費を「売上全体」で割ると、広告で売れていない商品の粗利まで下がって見える。逆に、広告依存の商品は実態より良く見える。
割る数(分母)は「広告経由の販売数」にする。ここを間違えると、広告を止めるべき商品と伸ばすべき商品を取り違える。
落とし穴4:長期保管の附加料を別枠にする
181日を超えると附加料が乗る。これを「別の費用」として扱うと、普段の採算計算に入らない。
在庫日数が150日を超えたら、その商品の粗利から附加料を見込んで引く。判断の期限は181日ではなく150日と覚えておくと動きやすい。
Amazonの公式ツールと、自前の表の使い分け
Amazonにも収益計算のツールはある。公式ツールは「その時点の料金」を反映するので正確だが、自分の販売計画(何個売るか、広告をいくら使うか)を入れた比較はしにくい。
実務では2つを併用する。
- 公式ツール:手数料の正解を確認する(料金改定のたびにここで更新)
- 自前の表:販売数・広告費を変えたときの粗利の変化を見る
自前の表は、料金改定のたびに手数料の列だけ更新する。その他の列(原価・売価・販売計画)は使い回せる。
よくある質問
FBAの手数料は何種類ありますか?
販売手数料・配送代行手数料・保管料・返品処理の4種類です。売れるたびにかかるものと、毎月かかるものに分かれます。
1個あたりの粗利はどう計算しますか?
売価から原価・販売手数料・配送代行手数料・保管料(1個あたりに割る)・広告費(1個あたりに割る)を順に引きます。保管料は月額を販売数で割って割り振りします。
シミュレーションの数字はどこで確認しますか?
配送代行手数料と保管料はAmazonの料金表で確認してください。料率や単価は改定されるため、計算のたびに最新値へ更新します。
手数料の4区分はFBA手数料の全体像で整理している。
赤字の原因を切り分ける手順はFBAで儲からない原因を参照。
納品の実務はFBA納品のやり方にまとめている。
Amazon運用の全体像と読む順番はAmazon運用の教科書にまとめた。
計算を手早く済ませたい場合はFBA粗利計算シート(無料テンプレート)を使うと、数字を入れるだけで粗利が出る。
まとめ:今週やること
FBAの採算表を作る手順
- 01サイズと重量を測る配送代行手数料の区分を確認
- 02売価・原価・料率を1行に入れる表計算のA〜E列
- 03販売数と広告費を入れるF〜I列。ここが判断の肝
- 041個あたりに割る保管料÷販売数、広告費÷広告経由数
- 05販売数を半分にして試す赤字に変わる点を探す