越境ECの計画を立てるとき、「まずAmazonに出す」が既定路線になりがちです。ただし市場によっては、その前提が成り立ちません。オランダはその代表例です。
結論
- 市場を選ぶ段階とプラットフォームを選ぶ段階を分ける。国ごとに強いプラットフォームは違う。
- 見るのは規模より成長率の差。Bol.comは+12.0%、Amazon.nlは+2.7%で、差は9.3ポイントある。
- 成長している市場は参入要件も重い。VAT・EAN・CE、現地語サポート、返品体制の費用を先に見積もる。
まずやること
- 対象国のプラットフォーム別シェアを調べる(Amazon以外が強い国がないか)
- 成長率を並べ、差が開いているか縮んでいるかを見る
- 参入要件(VAT登録・EANコード・CE等の認証)を洗い出す
- 現地語サポートと返品対応の費用を概算する
数字で見るオランダ市場
注目すべきは規模の差より成長率の差です。Bol.comが12.0%、Amazon.nlが2.7%で、差は9.3ポイント。両者の開きは2024年時点の約61%から75%以上へ広がっています。追い上げられているのではなく、離されている構図です。
Amazon前提の戦略が崩れる点
現地プラットフォームが強い市場での違い
- 01流入の起点が違うAmazonでの検索順位対策やスポンサープロダクト広告のノウハウが、そのままでは効きません。プラットフォームごとに広告の仕組みが違います。
- 02物流の前提が違うBol.comにはLvBという自社倉庫の仕組みがあり、これを使うかどうかで流入量が変わるとされています。FBAと同じ発想は使えますが、手続きは別物です。
- 03言語対応が必須になるオランダ語でのカスタマーサポートが求められます。英語だけで回す想定だと成立しません。
- 04返品規定が違う30日間の無料返品が運用されています。返品率を織り込んだ価格設計が必要です。
ただし強い市場ほど参入要件も重い
Bol.comに出すにはEUのVAT登録、EANコード、CE等の製品認証が必要になります。現地語サポートと返品対応の体制も要ります。「Amazonより競合が少ない」という利点は、この初期投資を回収できる前提でのみ意味を持ちます。
実務で確認すること
| 確認する項目 | 見る場所 | 判断への使い方 |
|---|---|---|
| プラットフォーム別の市場規模と成長率 | ECDBなどの集計(数値は報道ベースで確認) | 規模が小さくても成長率が高ければ、先行して出る価値がある |
| 参入要件 | 各プラットフォームの出品者向け案内 | VAT・EAN・認証の有無で初期投資が変わる |
| 物流の仕組み | プラットフォームの倉庫サービス(例: Bol.comのLvB) | 使うかどうかで流入量と手数料が変わる |
| 言語と返品 | 現地の返品規定・サポート要件 | 現地語対応と返品率を価格に織り込めるかで採算が決まる |
表の4項目は、「その国に出すか」と「どのプラットフォームに出すか」を分けて埋めるのがコツだ。同じ行の中で両方を決めようとすると、判断が止まる。
どの市場にどのプラットフォームで入るかの判断材料づくりは市場調査レポートでお受けしています。
よくある質問
Bol.comに出品するには何が必要ですか
EUのVAT登録、EANコード、CE等の製品認証が基本になります。加えて現地語のカスタマーサポートと返品対応の体制が要ります。詳細は各プラットフォームの出品者向け案内で確認してください。
Amazon.nlに出しておけば十分ですか
オランダではBol.comのほうが規模が大きく、成長率の差も開いています。Amazon.nlだけでは到達できない買い手がいる前提で、プラットフォームの組み合わせを検討したほうがいい。
初期投資を回収できるかはどう判断しますか
参入要件の費用(VAT登録・認証・翻訳・サポート)と、返品率を織り込んだ粗利を並べます。「Amazonより競合が少ない」は、この費用を回収できる前提でのみ意味を持つという点が判断の出発点になります。
まとめ:今週やること
市場とプラットフォームを分けて調べる手順
- 01対象国を3つに絞るまず候補を絞る。いきなり全欧州に広げない。
- 02プラットフォーム別シェアを調べるAmazon以外が強い国がないか確認する。
- 03成長率の差を見る規模より伸び。差が開いているかを見る。
- 04参入要件を洗い出すVAT・EAN・認証・言語・返品の5点。
- 05費用を粗利と並べる回収できるかの判断はここで行う。