- 対象: Amazon Business宛 FBM(自己発送)注文 — 米国・英国はAmazon公式で確認済み。ドイツも対象とする報道がある(業界報道ベース、後述)
- 施行日: 2026年9月30日(米国・英国は公式確認済み)。90%未満は警告→(報道ベースでは10月30日までに改善がなければ)Amazon Business向けFBMオファーが非アクティブ化
- 影響範囲: FBAオファー・小売オファーは影響なし(公式明記)。B2B需要のあるSKUをFBMで回しているセラーに直撃
- 免除ルート: Amazon Buy Shipping + 配送自動化(AHT/SSA)の3点セットで、期限どおりに発送した配送は自動で要件保護される
何が変わるのか
Amazonは2026年9月30日から、米国と英国で「営業時間内配達率(Business Hour Delivery Rate)90%以上」の維持をAmazon Seller Central上で義務づけた(ドイツも同時期に対象となるとする報道がある。文末の出典を参照)。これはAmazon Business(Amazon.co.jpでいう「Amazonビジネス」に相当する法人向けストア)宛のFBM注文が対象で、一般の個人客向け注文には適用されない。
営業時間内配達率とは、事業所宛のFBM出荷のうち、買い手が設定した営業時間内に配達された割合だ。顧客が設定していない場合は「月〜金、8時30分〜17時(現地時間)」がデフォルトで適用される。測定は14日間の移動窓口で日次更新され、たとえば11月21日時点では「約定日が11月1日〜11月14日の出荷」が対象になる。
90%を下回ったセラーは通知と改善推奨を受け、その後も改善がなければAmazon Business顧客に対してFBMオファーが非アクティブ化される。英国内の動きについてはAmazon UK公式フォーラムで「10月30日から」と日付が明示されており、米国でも同じタイムラインだとする報道が複数あるが、米国側の一次資料には日付の明記がない。FBAオファーと小売オファーの eligibility は影響を受けない、とAmazonは明記している。
つまり「アカウント全体の停止」ではなく、B2Bチャネルだけが静かに失われる。Amazon Businessの売上 contribution が目立たない帳簿のどこかに埋もれていると、12月の決済明細を見て初めて気づくタイプの損失だ。
なぜ「90%」が難しいのか: 配達時刻はセラーがコントロールできない
この指標の厄介な点は、決定権がキャリア側にあることだ。セラーが管理できるのは「いつ倉庫を出すか」までで、UPS Ground や FedEx Home Delivery が事業所にいつ着するかは選べない。住宅向けサービスは営業時間内配達を保証しないし、夕方〜夜間配達が事業所の受領時間外に落ちれば、それはセラーのスコアを直接落とす。
Amazon自身のFAQにある例が分かりやすい。100件のB2B出荷のうち15件が営業時間外に配達された場合、何の対策もしていないセラーのスコアは85%。15件のうち5件でも「保護対象の発送方法」を使っていれば、スコアは90%になる。つまり「全件を正しい発送方法にする」ことと「一部でも保護ルートに乗せる」ことで、合格ラインの側に立てる確率が変わる設計だ。
「営業時間内配達90%」を維持する具体策(Amazon公式に基づく)
AmazonはFAQの中で、要件を満たすためのルートをほぼ閉じた形で提示している。重要なのは、特定の組み合わせを使えば「要件そのものから保護される」という点だ。
自動保護の3点セット
- Amazon Buy Shipping でラベル購入(Seller Central上、Shipping API、Veeqo、対応マルチチャネル連携ツールから可)
- Automated Handling Time (AHT) を有効化(SKU別の実際のリードタイムに基づき納期設定を自動化)
- Shipping Settings Automation (SSA) を有効化(倉庫→配送先ごとの所要日数を自動計算)
この3つをすべて使った出荷は、初回キャリアスキャンが予定発送日に含まれていれば、キャリアが営業時間外に配達しても要件から自動的に保護される。Amazonはキャリア側の「営業時間内に配達しない」リスクを、実質的に自社プラットフォーム側の利用で吸収する構造を用意している。
保護を使わない場合の改善策
- 事業所宛には住宅向けサービス(UPS Ground、FedEx Home Delivery 等)を使わず、月〜金・日中配達を保証する shipping method を選ぶ
- Account Health → Program Eligibilities から14日分の営業時間内配達率レポートをダウンロードし、Shipment ID 単位で「どのキャリア・どの発送方法が時間外配達をしているか」を特定する
- Amazonが公開する「top-performing carriers」リストを参考に、B2B注文の配達キャリアを入れ替える
この変更は、B2Bの注文をFBMで回す理由を半分なくすものだ。選べる道は、3点セットを入れてFBMを続けるか、FBAに移すか、その商品だけB2Bを外すかの3つになる。
判断はB2Bの注文がどれくらいあるかで決めればいい。少ししかないならB2Bを外す。多いなら、FBAに寄せたときのコストと比べる。「関係ない」と思っているセラーほど、まずレポートで数値を確認してほしい。
まとめ: 9月中にやること
- Account Health → Program Eligibilities で営業時間内配達率の数値とレポートを確認(数値が表示されているなら、すでにB2B出荷が発生している)
- SKU別・キャリア別に時間外配達を起こしている発送方法を特定する
- 90%に届きそうにないSKUは、Buy Shipping + AHT + SSA の導入か、FBAへの移行かを9月中に決める
- FBA移行するSKUは、ピーク時代金(+平均$0.32/個、10月15日〜)と通年の燃料サーチャージ(3.5%)を含めた形で損益を再計算する
施行は2週間を切っているが、測定が14日間の移動窓口である以上、9月末のスコアは「直近2週間の実績」で決まる。今週中にキャリア構成を変えられれば、初回の判定に間に合う。
出典
- Amazon Seller Central「Frequently asked questions on BHDR」 — sellercentral.amazon.com
- Amazon Seller Central「Changes to program policies」 — sellercentral.amazon.com
- Amazon UK Seller Central フォーラム公式アナウンス「Update to FBM requirements for Amazon.co.uk」(2026年9月)
- 業界報道: Nova (novadata.io)、SellerSprite — 米国10月30日の判定日・ドイツ対象の裏付け(一次情報ではないため本文で注記)