2026年9月26日

AmazonのGWDが日本を含む8カ国へ拡張。日本のメーカーが米国Amazonで売る前提が変わる

越境EC

Amazonが2026年9月24日、越境物流プログラム「Global Warehousing and Distribution(GWD)」の拡張先を初めて具体的に示した。米国に加えて、英国・日本・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・カナダの7カ国。年末までに8カ国となり、1回の製造ロットの出荷でその8カ国すべてに届く構想だ。

日本のメーカーにとっての意味は大きい。これまで米国Amazonで売るには、米国の倉庫に在庫を積むか、米国向けに個別に出荷するかしかなかった。日本がGWDの拠点に入れば、日本から1回送るだけで米国・カナダ・欧州が同じ在庫プールに入る。

ただし、Amazonが公表したのは国名と期限までだ。拠点の場所、開始時期、料金、輸入者(IOR)の扱いは示されていない。ここを読み違えると、在庫を動かす判断を誤る。

結論

  1. Amazonが2026年9月24日にGWDの拡張先を公表し、日本を含む8カ国が年末までに対象となる。
  2. まず2カ国以上で継続的に売れているSKUを洗い出し、料金表が出るまで在庫は動かさない。
  3. 在庫は統合されてもコンプライアンスは統合されず、輸入者・VAT・ラベルは国ごとに別々に要る。

何が変わったか

発表の内容は次のとおりだ。

項目内容
対象国米国に接続済み。年末までに英国・日本・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・カナダを追加
仕組み工場近くのAmazon拠点に製造ロットを送り、需要が出た国へ補充し、現地FBAへ流す
保管コスト米国のAWD比で最大45%減(Amazonの自社比較)
補充速度FBAへの補充が最大5日短縮(Amazonの自社比較)

在庫を国別に分割しないで済むのが本質だ。従来は需要が読めない段階で、米国・カナダ・欧州向けに生産ロットを振り分ける必要があった。GWDでは上流のプールに在庫を厚く持ち、需要が出た国に後から動かす。

あわせて、Amazonは米国以外のAWD展開(EU・英国・オーストラリア)と、Seller Assistantへの「長期在庫」「入荷計画」エージェント追加も発表している。

なぜAmazonがここまで動くのか

Amazon自身が公表した数字が分かりやすい。複数国に出品しているセラーは、1カ国だけのセラーより平均で売上が70%多い。一方で、複数国に出品しているのは全体の30%にとどまる。

+70%複数国に出品するセラーの平均売上(1カ国だけのセラーとの比較)
30%複数国に出品しているセラーの割合
いずれもAmazonの公表値。伸びしろは「新しい商品」ではなく「すでに売れている商品の横展開」にある。

つまり成長余地は「新しい商品」ではなく「すでに売れている商品の横展開」にある。にもかかわらず、国ごとに在庫・コンプライアンス・出品情報・物流を別々に立ち上げるコストが壁になっていた。GWDはその壁のうち、在庫と物流の部分を先に外す施策だ。

日本のメーカーにとって何が変わるか

日本のメーカーが米国Amazonで売るとき、いちばん重い制約は「在庫をどこに置くか」だった。日本の工場から米国FBAへ送ると、売れ残りは米国に滞留する。売れたら売れたで、次のロットが届くまでの欠品が起きる。GWDが日本に入ると、この構造が変わる可能性がある。

ただし、期待しすぎると危ない。公表されたのは国名と期限だけで、日本発の出荷が実際に受け付けられるか、料金がいくらになるか、いつから使えるかは示されていない。動かす在庫を決めるのは、実際の料金表が出てからでいい。

もう1つ見落としやすい点がある。在庫は統合されても、コンプライアンスは統合されない。国ごとにVAT登録、輸入者、ラベル、製品試験、包装要件が別々に必要で、英国・カナダ・日本・米国はそれぞれ独立した輸入市場だ。EUは関税同盟だが、VATとマーケットプレイス登録は国ごとに残る。

補足:ワンサブミッションの試験制度

コンプライアンス側の負担軽減も同時に進んでいる。1回の試験提出で複数国の認証要件を満たす仕組みが、安全性試験が最も複雑な玩具から始まり、年末までに電子機器とベビー用品へ広がる予定だ。Amazonはパイロット参加セラーがコンプライアンス費用を最大60%削減したと報告している。

ただしこれもAmazonのパイロット報告値である。どの認証がどの国で認められるかは国ごとに違うため、試験予算を削る前に、目的地ごとに有効な認証を確認しておきたい。

今すぐやること

  1. GWDを「安い倉庫」として比較しない。 保管料だけを並べると判断を誤る。原産地での取り扱い、輸出書類、国際輸送、通関、関税、現地での移動まで含めた総着地コストで見る
  2. 現状・GWD・ハイブリッドの3パターンで試算する。 ハイブリッドは「安定して売れている商品はGWD、新商品と季節商品は自社物流」という切り分けだ
  3. 最初のテストは2カ国以上で継続的に売れているSKUに絞る。 需要の実績がある商品なら、Amazonの需要予測に判断を委ねずに済む
  4. 上流1拠点に在庫が寄るリスクを確認する。 書類不備や通関遅延が1カ所で起きると、複数国で同時に欠品する

補足:中国の無料保管は12月31日まで

EcomCrewの報道によれば、対象となるGWD入庫は中国での30日無料保管が12月31日まで延長されている。小規模なトライアルのコストを下げられるが、新しい7カ国向けの料金表が出たわけではない。

GWDの一番の意味は、国ごとに在庫を分けなくてよくなることだ。売れるか分からない段階で、国ごとに在庫を振り分ける必要がなくなる。

ただし、料金と開始時期はまだ分かっていない。今すぐ在庫の動かし方を変えるのではなく、料金表が出てから判断するのが安全だ。

よくある質問

GWDは日本からいつ使える?
開始時期は公表されていません。日本は拡張対象の7カ国に含まれ、年末までに8カ国となる予定です。

GWDを使うと保管コストはどのくらい下がる?
Amazonの自社比較で、米国のAWD比の保管コストが最大45%減、FBAへの補充も最大5日短縮です。

GWDに入れれば各国のVATや認証は不要になる?
在庫は統合されますが、VAT登録・輸入者・ラベル・製品試験・包装要件は国ごとに別々に必要です。英国・カナダ・日本・米国は独立した輸入市場です。

まとめ:今週やること

今週やること

  1. 01GWDの画面が表示されるか確認する段階展開のため、まだ表示されないアカウントもある。
  2. 022カ国以上で継続的に売れているSKUを洗い出す需要の実績がある商品をGWDの対象候補としてリスト化する。
  3. 03目的国ごとの輸入者・VAT・ラベル・試験を一覧にする在庫は統合されてもコンプライアンスは統合されない。
  4. 04料金表と開始時期の公表を待つ公表前に生産ロットをGWD前提へ切り替えない。

※数字の出典:https://www.aboutamazon.com/news/innovation-at-amazon/amazon-sellers-global-expansion-tools

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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