2026年9月18日

Amazonのトップ1万セラーは中国が55.9%に。それでも売上の65.3%は米国セラーが持っている

越境EC

Amazon.comの「トップ1万セラー」の構成が入れ替わっている。Marketplace Pulseが2026年7月に公表した分析によると、中国セラーは55.9%(2020年7月は42.5%)、米国セラーは40.5%(同53.7%)。2020年7月からのポジションの移動は、中国が+1,342、米国が-1,320。順位の主役が入れ替わった。

ただし、話はそこで終わらない。同じ1万人の中で、売上(GMV)の65.3%は米国セラーが持っている。中国セラーは28.6%。つまり、「数」と「金額」が逆を向いている。

日本のメーカーにとっての論点はここだ。どちらのゲームに自分の商品を置くのか。数で勝つ層と、金額で勝つ層は、必要な能力が違う。

結論

  1. 2026年7月時点で、トップ1万セラーの55.9%は中国セラーだが、売上の65.3%は米国セラーが握る。
  2. まず自社の主要カテゴリで上位セラーの単価帯を確認し、$20台か$40台かで自分のゲームを決める。
  3. 数で負けても金額では勝てるが、上位に入り続けるには広告・レビュー・在庫の初期投資が要る。
55.9%トップ1万セラーに占める中国セラーの割合(2020年7月は42.5%)
65.3%同じ層が生む売上に占める米国セラーの割合(中国は28.6%)
81.4%トップ100に占める米国セラーの割合(売上では93.2%)
$47.62トップ100・米国セラーの平均販売単価(中国セラーは$22.03)
Marketplace Pulseの分析(2026年7月公表、Amazon.comのトップ1万セラー)より。

何が変わったか

数字を並べる。

指標2020年7月2026年(今回)
トップ1万に占める中国セラー42.5%55.9%
トップ1万に占める米国セラー53.7%40.5%
ポジションの増減(2020年7月以来)—中国 +1,342 / 米国 -1,320

順位そのものの滞留も変わっている。いまのトップ1万の68.6%は1年前も同じ位置にいた(2019年の調査では67%)。3年前からいたのは49.6%で、こちらは2019年の41%から上昇している。上位に居続けることは、むしろ安定した。

一方で、顔ぶれは入れ替わった。いまのトップ1万の半分は2019年より前に登録したセラーで、これは1年前の6割超から減少している。層別では、2019〜2021年登録の「パンデミック世代」が17.5%で最も薄い。2022〜2024年登録が26.9%、直近18カ月の登録が6.3%。下から新しい世代が押し上げ、上からは中国セラーが入ってくる。

「順位」と「売上」はなぜねじれるのか

トップ1万セラーの構成(セラー数と売上)

中国(セラー数)55.9%
米国(セラー数)40.5%
中国(売上)28.6%
米国(売上)65.3%
Marketplace Pulseの分析より。数(セラー数)では中国が多数派、金額(GMV)では米国が多数派になる。

理由は単価と、その逆の分布にある。上位ほど米国セラーが強く、単価も高い。トップ100では米国セラーが81.4%を占め、この層の売上の93.2%を生む。一方で、5,001〜10,000位の帯では34%にまで薄くなる。平均販売単価はどの帯でも米国セラーが高く、トップ100では$47.62対$22.03と、2倍以上の差がつく。

中国セラーの増加は、工場との距離・直取引・輸出補助・AIツールによる出品品質の底上げが背景にある(Marketplace Pulseの分析)。かつて国内セラーを守っていた「リスティングの質」の壁が、ほぼ消えた。

そして「勝ち方」も変わった。有機検索の順位が占めていた場所に、スポンサー枠が広がっている。 工場直結の新規参入者は、薄い商品マージンのまま広告費を厚く積んで、その枠を買う。同じ商品を、単価ではなく広告費で競っている構図だ。

日本のメーカーはどのゲームを選ぶか

2つの事実を、日本のメーカーの立場で並べ直す。

1つ目。順位の滞留は強まっている。 1年後の生存率68.6%、3年後49.6%。つまり、上位に入れれば、続きやすい。 時間そのものが資産になるマーケットだ。

2つ目。金額で勝っている層は、単価で勝っている。 そして、その層こそ日本のメーカーが得意としてきた「品質・機能・ブランドで説明できる商品」の帯だ。工場直結の低単価攻勢と正面から価格で戦うのではなく、単価の高い層で「選ばれる理由」を持ち込む方が、構造的に合っている。

注意点も、数字の中にある。 トップ層はスポンサー枠なしでは守れない場所になりつつある。滞留が安定しているのは「入った後」の話で、入るためにはレビューと広告と在庫の初期投資がいる。「良い物を作れば売れる」の間に、いまは1段階挟まっている。

今すぐやること

  1. 自社の主要カテゴリで、上位セラーの単価帯を確認する。 $20台の帯か、$40台の帯か。自分の商品がどちらのゲームにいるかを最初に決める
  2. 低単価帯(工場直結の価格競争)に広告費を積まない。 単価で負ける土俵の広告は、ACOSがどうあれ構造的に苦しい
  3. 上位定着を「複利」として計算に入れる。 レビュー蓄積とリピートは時間の関数だ。3年後の生存率49.6%は、参入時期の計画に使える
  4. 商品の平均単価(ASP)をKPIに入れる。 売上と粗利だけを見ていると、どのゲームをしているのかを見失う
  5. 「2019〜2021年世代」の薄さを自戒に使う。 ピーク時に参入して、価格競争の両側から挟まれた層がある。参入のタイミングと在庫リスクは別で見る

中国セラーが増えたというニュースは、「数」の話だ。売上の話ではない。

日本のメーカーが狙うべきは、値段で競う下の層ではなく、品質や説明で選ばれる上の層だ。安さで勝負する土俵に広告費をかけないこと。これが、この数字から読み取れる一番大事なことだ。

よくある質問

中国セラーが増えたのはいつから?
2020年7月の42.5%から、2026年7月には55.9%へ増えました。米国は53.7%から40.5%に下がっています。

数と売上、多いのは中国と米国どっち?
売上では米国セラーが65.3%、中国は28.6%です。セラー数では中国が上回るので、数と金額は逆を向いています。

上位セラーに定着するにはどうすればいい?
トップ1万の68.6%は1年前も同じ位置にいました。レビューと広告と在庫の初期投資を先に積む設計が必要です。

越境ECの基本用語と進め方は越境ECとは何かにまとめた。

まとめ:今週やること

今週やること

  1. 01主要カテゴリの上位の単価帯を確認する$20台か$40台か。自分のゲームを決める。
  2. 02低単価帯の広告は構造で判断する単価で負ける土俵に広告を積まない。
  3. 03上位定着を複利として計画に入れる1年生存68.6%、3年生存49.6%。
  4. 04ASPをKPIに追加するどの層で戦っているかを数字で見張る。

※数字の出典:https://www.marketplacepulse.com/articles/china-won-amazons-top-10000-america-kept-its-top-100

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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