2026年9月16日

TikTok Shop上位100セラーの5人に1人はAmazon上位1万にも。市場は重ならない

越境EC

Marketplace Pulseが2026年10月9日、TikTok Shop Trends Report 2026を公表した。米国のセラー15万アカウント以上、商品450万点の追跡に基づく分析で、「TikTok Shopは、Amazonが売っている物を売っておらず、Amazonが評価する物を評価していない」という結論を示している。

2つの市場の重なりは、同社が9月10日に公表した別の分析でも数字になっている。TikTok Shopの上位100セラーのうち5人に1人(20%)は、Amazonの上位1万にも入る。逆に、Amazonの上位100セラーでTikTok Shopの上位1万に入るのは25人に1人(4%)だ。つまり、TikTokで成功したブランドがAmazonでも成功する確率は、その逆の5倍になる。

1万件ずつのリストを突き合わせて、両方に入るのは498セラー(全体の約5%)だけ。しかも、その498人のAmazonでの順位とTikTokでの順位には、ほとんど関係がない。

結論

  1. TikTok ShopとAmazonの上位セラーは重ならない。2026年9月10日の分析で、重なりは20%と4%だった。
  2. まず上位商品を1つ選び、15秒の動画で「使う前と後」を見せられるかどうかを判定する。
  3. TikTok Shop内の売上ではなく、Amazonでブランド名を検索される数の増加を主指標にする。

上位セラーの重なり(2026年)

TikTok上位100→Amazon上位1万20%
Amazon上位100→TikTok上位1万4%
Marketplace Pulseが両プラットフォームのセラー上位1万を事業者名で突き合わせた結果。

何が分かったか

レポートが追跡した規模と、代表的な発見は次のとおりだ。

項目内容
追跡規模米国セラー15万アカウント以上、商品450万点
売れ筋の中身上位商品の売上の3分の2超が「体に塗る・摂る・身につける」物。ビューティーだけで約30%
売れ筋の価格上位商品の中央値は約40ドル
競争構造セラーの1%が売上の60%を生む
順位の回転トップランキングの入れ替わりは、同社が追跡するどのマーケットプレイスより速い

40ドルという中央値は示唆的だ。「広告費を回収できる価格だが、フィードを見ている流れの中で衝動的に買える価格」という帯を示している。一般的なマーケットプレイスが品揃えとして抱えるカテゴリは、ほとんど上位に入ってこない。

なぜ重ならないのか

役割が違うからだ。TikTokは「欲しくなる場所」、Amazonは「買う場所」。多くの買い手はTikTokで商品を見ても、そのまま買わない。Amazonを開き、ブランド名を検索して、いつもの場所で買う。2000年代から積まれた購入体験(カード登録・配送予定日・返品・レビュー)が、その反射を作っている。

この構造はTikTok Shop以前からある。2021年、TikTokに製品ページへのリンクがなかった時期にも、動画で話題になったレギンスがAmazonの衣料品部門で1位になった。TikTok Shopは決済と物流とクリエイター報酬を足して、売上をアプリ内に残せるようにした。それでも反射は残っている。フィードで勝ったブランドは、自分で作らなくてもAmazonのビジネスを引き継ぐ。

逆方向はない。Amazonで見つけた人がTikTokに買いに行くことはない。Amazonは発見の場所になろうとして何度も失敗している。Amazon Liveは定常的に1000人の視聴者を集められず、Inspire(2022年、2017年のSparkのほぼコピー)は2025年に終了した。

売れる理由も別物だ。Amazonでの成功は検索順位とレビュー数と広告予算とFBA在庫で決まる。TikTokでの成功は「15秒で結果を見せられる商品」を、コンテンツを主軸にしたブランドが、数千人のクリエイター報酬で押すことで決まる。充電ケーブル、収納ボックス、コピー用紙。Amazonで売れるものの多くは、このテストに落ちる。

日本のメーカーにとっての意味

結論ははっきりしている。TikTokの価値は、TikTok Shopの売上ではなく、Amazonの指名検索で測る。商品が動画映えするなら、クリエイターに投資し、リターンの大半はAmazonに着地すると考える。動画映えしないなら、TikTokはチャネルではない。リスティングの工夫で動画映えするようにはならない。

判断の基準はシンプルだ。その商品は、15秒の動画で「使う前と後」を見せられるか。見せられるなら、TikTok ShopとAmazonの両方の順位が取れているセラーが「コンテンツを主軸にしたブランド」であることの意味を、真剣に検討する価値がある。

今すぐやること

  1. 上位商品を1つ選び、「15秒の動画で結果を見せられるか」で判定する。 見せられないなら、TikTokへの投資は後回しでいい
  2. Amazon側の指名検索数をベースラインとして記録する。 Brand Analyticsがあるならブランド名・商品名の検索数、ない場合は外部ツールでもいい。クリエイター施策の効果測定はここで行う
  3. TikTokに予算を置く場合、クリエイター報酬と少量の在庫から始める。 TikTok Shop内の売上ではなく、Amazonの指名検索の増加を主指標にする
  4. 動画を出すなら、商品ページとの一貫性を先に作る。 動画で約束した内容と、Amazonの商品ページ・写真・レビューを揃える。発見と購入が別の場所で起きる前提の設計だ
  5. 新しい商品の立ち上げ順を見直す。 「TikTokで発見→Amazonで定着」という順番が合うカテゴリがあるなら、最初からその順番で組む

TikTokとAmazonは、同じお客さんを奪い合う場所ではない。TikTokは「欲しくなる場所」、Amazonは「買う場所」だ。

だからTikTokに力を入れるなら、TikTok内の売上よりAmazonで名前を検索される数を見るべきだ。動画で魅力を見せられない商品は、無理にTikTokへ行く必要はない。

よくある質問

TikTok ShopとAmazonの上位セラーはどれくらい重なる?
上位1万同士を突き合わせて、両方に入るのは498セラーだけ。全体の約5%で、順位にもほとんど関係がない。

なぜTikTok ShopとAmazonで売れる商品が違う?
TikTokは欲しくなる場所、Amazonは買う場所で役割が違う。Amazonで見つけた人がTikTokに買いに行く逆向きは起きない。

TikTok Shopに向く商品はどんなもの?
15秒の動画で使う前と後を見せられる商品。Amazonで売れる充電ケーブルや収納ボックスはこのテストに落ちる。

まとめ:今週やること

今週やること

  1. 01商品が15秒動画で結果を見せられるかを判定する見せられなければTikTokは後回し。
  2. 02Amazonの指名検索数をベースラインにするクリエイター施策の成果はここで測る。
  3. 03TikTok投資はクリエイターと少量在庫から主指標はAmazonの指名検索。
  4. 04新商品は「発見→定着」の順番も検討するカテゴリによってはTikTok起点が合う。

※数字の出典:https://www.marketplacepulse.com/articles/what-45-million-products-say-about-tiktok-shop

株式会社unipeace

越境ECとAmazon広告運用に特化したコンサルティングパートナー。記事は一次情報をもとに、実務で使える形にまとめています。

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