越境ECとは、海外の消費者に国をまたいで商品を売ること。日本のAmazonで売るのと違い、輸出者・輸入者・関税・送料の4つを決める必要がある。ここを曖昧にしたまま始めると、売れたのに利益が残らないか、税関で止まる。
やり方は大きく3つ。Amazonなどのモール経由、越境EC専用モール、自社サイトだ。それぞれ必要になる準備が違うので、先に「どの形で売るか」を決めるのが最短になる。
結論
- 越境ECは海外の消費者に国をまたいで売ること。国内ECとの違いは関税・送料・言語・輸出者の4点。
- やり方はモール経由・越境ECモール・自社サイトの3つ。モール経由が最も始めやすく、自社サイトは集客が必要。
- 始める前に決めるのは誰が輸出者か(IOR)・関税の負担者・送料の設計・言語対応の範囲。
まずやること
- 売り先の国を1つに絞る(日本→米国、日本→EUなど)
- 誰が輸入者(IOR)になるかを決める(自社か、プラットフォームか)
- 商品のHSコードと関税率を調べる
- 送料と関税を販売価格に含めるか、別建てにするかを決める
越境ECと国内ECの違い
売り方は同じに見えて、4つの点で違う。
| 項目 | 国内EC | 越境EC |
|---|---|---|
| 関税・税 | 消費税のみ | 関税+現地の税(VAT・売上税など) |
| 送料 | 国内の配送料 | 国際輸送+現地配送 |
| 言語 | 日本語 | 販売先の言語 |
| 責任 | 販売者 | 輸出者・輸入者の区分が必要 |
一番の落とし穴は関税と税だ。販売価格を決めるときに、関税と現地の税を入れ忘れると、売れるほど利益が減る。
やり方は3つ
どれを選ぶかで、必要な準備とコストが変わる。
1. Amazonなどのモール経由(輸出)
日本のAmazonから海外へ輸出する形、または各国のAmazonに出品する形。集客をモールに任せられるのが最大の利点。出品と物流の設計が主な仕事になる。
2. 越境EC専用モール
海外の消費者向けのモール(現地のECサイト)に出店する形。現地の集客力を使えるが、手数料と出品のルールを確認する必要がある。
3. 自社サイト(Shopifyなど)
自分で EC サイトを作り、海外に売る形。利益率は高いが、集客を自分で作る必要がある。広告費と送料の設計が重要になる。
最初は1つに絞る。3つ同時に始めると、どれも中途半端になる。
始める前に決める4つ
1. 誰が輸入者(IOR)になるか
海外に商品を送る場合、受け取る国で「輸入者」が必要になる。自社が輸入者になるか、プラットフォームの仕組みを使うかで、責任と書類が変わる。米国では輸入者の要件が厳しくなっており、輸入者(IOR)の記事で整理した。
2. 関税と税の負担者
販売価格に関税を含める(DDP)か、受け取る側が払う(DDU)かを決める。DDPのほうが購入者の体験は良いが、関税率が読めないと利益がぶれる。
3. 送料の設計
国際輸送は重量とサイズで料金が跳ねる。送料を無料にすると、軽い商品ほど赤字になりやすい。送料を販売価格に織り込むか、別建てにするかを決める。
4. 言語対応の範囲
商品ページだけ翻訳するのか、カスタマーサポートも対応するのかで、必要な体制が変わる。返品や問い合わせが発生するので、サポートの言語を決めずに売り始めると詰まる。
向く商品・向かない商品
越境ECは「送料と関税に耐える商品」しか成立しない。
| 商品の特徴 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 単価が高く、軽い | 向く | 送料の比率が下がる |
| 日本らしさがある | 向く | 現地で代替が効きにくい |
| リピートされる消耗品 | 向く | 2回目以降の送料負担が軽い |
| 単価が低く、重い | 向かない | 送料と関税で利益が消える |
| サイズ展開が多い | 要注意 | 在庫と返品の管理が重くなる |
「国内で売れているから海外でも売れる」とは限らない。 現地の価格帯と競合を先に見る。
制度の変化に注意する
越境ECは制度の影響を強く受ける。少額免税の廃止や、関税の課し方が変わると、採算が一気に変わる。
- 少額免税の終了:世界の少額免税の記事
- EUの3ユーロ関税(約500円):EU関税の記事
- 物流の選択肢:FBAとは何か
制度は四半期ごとに見直す。半年前の前提で価格を決めていると、いつの間にか赤字になる。
よくある質問
越境ECとは何ですか?
海外の消費者に、国をまたいで商品を売ることです。国内ECとの違いは、関税・送料・言語・輸出者の4点です。
越境ECのやり方は何種類ありますか?
Amazonなどのモール経由、越境EC専用モール、自社サイトの3つです。最初は1つに絞るのが安全です。
越境ECを始める前に何を決めますか?
売り先の国、輸入者(IOR)、関税の負担者、送料の設計、言語対応の範囲です。
海外在庫をAmazonの倉庫に置く場合の費用はFBA手数料の全体像にまとめた。
関税の分類(HSコード)の調べ方はHSコードとはにまとめた。
関税の計算は関税の計算方法で手順を整理している。
Amazon運用の段階別の読み方はAmazon運用の教科書に整理した。
関税の試算は関税計算シート(無料テンプレート)でできる。
危険物の申告が必要な例はShopeeの危険物申告の厳格化で確認できる。
まとめ:今週やること
越境ECを始めるまでの順番
- 01売り先を1国に絞る米国かEUか
- 02輸入者を決める自社かプラットフォームか
- 03HSコードと関税を調べる商品ごとに確認
- 04送料を含めた価格を試算する関税と送料を忘れずに
- 051つの販路だけで始めるモールか自社サイトか