2026年8月10日

EUの小包取扱手数料は11月1日まで。フランス・ルーマニアは先に始めている

規制・コンプライアンス

EUでは3ユーロ(約500円)の定額関税とは別に、共通の小包取扱手数料が2026年11月1日までに導入される。 増え続けるEC小包の検査コストを賄うためのもので、関税とは別建てだ。ここを混同すると原価計算が合わなくなる。 ※本記事の円換算は1ユーロ=165円で計算している。

しかも、すでに国ごとの先行課金が始まっている。フランスとルーマニアは自国ルールで徴収済みで、金額も単位も違う。EU共通の手数料が始まるまでの間、仕向け国によって負担が変わると考えておくほうがいい。

結論

  • EUの小包取扱手数料は、3ユーロの定額関税とは別建てで2026年11月1日までに始まる。
  • 金額は未確定で、業界では2ユーロ程度が有力。3ユーロの関税と合わせ約5ユーロとの試算もある。
  • フランスとルーマニアはすでに独自の課金を始めており、同じEU域内でも仕向け国ごとに負担が違う。

まずやること

  1. 3ユーロ関税と取扱手数料を、別の費目として分けて記録する
  2. フランス・ルーマニア向けの原価を、いまの負担で計算し直す
  3. 手数料の金額は「未確定」として社内資料に明記する
  4. EU共通ルールの適用開始日と水準を、月1回確認する
2026年11月1日EU共通の取扱手数料の導入期限
約2ユーロ業界で有力な金額の見方(約330円・未確定)
2ユーロフランスの先行課金(約330円・HS6細分ごと)
5ユーロルーマニアの先行課金(約825円・1小包あたり)
欧州委員会と各国の公表資料、業界の試算(2026年10月時点)より。

関税と手数料は別もの

混同しやすいので、費目を分けて整理する。関税は「輸入する行為」に、手数料は「検査する作業」にかかる。 課金の単位も違うため、同じ小包でも足し算の仕方が変わる。

費目課金の単位状態実務での扱い
定額関税HS6の分類ごと導入済み品目数で増える
取扱手数料未公表11月1日までに金額は未確定
各国の先行課金国ごとに異なる実施中仕向け国で変わる

「1個あたり3ユーロ」と読むと、計算を間違える。 課金は分類単位なので、1つの小包に3種類の商品が入れば3倍になる。この点は3ユーロ定額関税の記事で詳しく整理している。

金額はまだ確定していない

業界では2ユーロ程度という見方が有力で、3ユーロの関税と合わせて申告明細1行あたり約5ユーロという試算もある。ただし、正式な金額は欧州委員会が適用開始前に決める段階で、確定値ではない。

ここで大事なのは、確定前に価格改定まで進めないことだ。手数料が2ユーロか3ユーロかで、低単価商品の採算は逆転する。社内資料には「未確定」と書き、確定後すぐ動けるように試算だけ用意しておく。

国によってすでに負担が違う

EU共通ルールの前に、各国が独自に動いている。同じEU域内でも、いまの負担は同じではない。

EU共通ルールに先行した各国の課金

  1. 01フランス(2026年3月1日〜)150ユーロ以下の貨物にHS6細分ごと2ユーロ。共通ルール開始で自動終了
  2. 02ルーマニア(2026年1月1日〜)150ユーロ以下の貨物に1小包5ユーロ。自動終了の仕組みなし
  3. 03イタリア2026年度予算で2ユーロを成立。運用の技術指針は未公表
  4. 04ベルギー2ユーロを検討したが、EUレベルの関税に委ねる判断

フランス向けとルーマニア向けを同じ原価で計算していると、ルーマニア側で利益が消えている可能性がある。 先行課金のある国は、いまの負担で試算し直す。

背景にある数字

制度の狙いは増税ではなく、安全基準を満たさない商品の流入を止めることだ。数字を見ると、その規模が分かる。

  • 59億件:2025年にEU消費者へ直送された低額貨物(2024年は約46億件)
  • 約91%:そのうち中国発の割合
  • 約10億ユーロ:改正で見込まれる年間の関税増収

検査した低額貨物のうち、化粧品・玩具・電子機器などでは過半数がEUの安全基準を満たしていなかったと報告されている。価格だけでなく、製品コンプライアンスの側も同時に問われる。

原価計算のやり直し方

やることは単純だ。SKUごとに「仕向け国別の着地コスト」を持ち、関税と手数料を別の列にする。 1つの列にまとめると、制度変更のたびに全部を計算し直すことになる。

低単価商品ほど影響が大きい。1個500円の商品に5ユーロ(約800円)が乗れば、赤字になる。 単価が低いSKUは、EU向けの販売を続けるかを制度の確定後に判断する。

よくある質問

3ユーロの定額関税と、小包取扱手数料は何が違いますか。

関税は輸入する行為に、手数料は検査する作業にかかります。課金の単位も違うため、同じ小包でも足し算の仕方が変わります。

EU共通の手数料は、もう金額が決まっていますか。

決まっていません。業界では2ユーロ程度が有力ですが、正式な金額は欧州委員会が適用開始前に決める段階です。

原価計算では、まず何をすればいいですか。

SKUごとに仕向け国別の着地コストを持ち、関税と手数料を別の列にしてください。1つの列にまとめると、制度変更のたびに全部を計算し直すことになります。

HSコードの調べ方はHSコードとはに整理した。

まとめ:今週やること

手数料に備える順番

  1. 01費目を分けて記録する関税と手数料は別
  2. 02先行課金の国を洗い出すフランス・ルーマニアなど
  3. 03SKU別の着地コストを更新する仕向け国ごとに
  4. 04低単価SKUの採算を見る影響が最も大きい
  5. 05確定情報を月1回確認する金額と開始日

EU向けの通関コストの試算は、サービスページで相談できます。

※数字の出典:https://taxation-customs.ec.europa.eu/customs/eu-customs-reform_en

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