EUでは3ユーロ(約500円)の定額関税とは別に、共通の小包取扱手数料が2026年11月1日までに導入される。 増え続けるEC小包の検査コストを賄うためのもので、関税とは別建てだ。ここを混同すると原価計算が合わなくなる。 ※本記事の円換算は1ユーロ=165円で計算している。
しかも、すでに国ごとの先行課金が始まっている。フランスとルーマニアは自国ルールで徴収済みで、金額も単位も違う。EU共通の手数料が始まるまでの間、仕向け国によって負担が変わると考えておくほうがいい。
結論
- EUの小包取扱手数料は、3ユーロの定額関税とは別建てで2026年11月1日までに始まる。
- 金額は未確定で、業界では2ユーロ程度が有力。3ユーロの関税と合わせ約5ユーロとの試算もある。
- フランスとルーマニアはすでに独自の課金を始めており、同じEU域内でも仕向け国ごとに負担が違う。
まずやること
- 3ユーロ関税と取扱手数料を、別の費目として分けて記録する
- フランス・ルーマニア向けの原価を、いまの負担で計算し直す
- 手数料の金額は「未確定」として社内資料に明記する
- EU共通ルールの適用開始日と水準を、月1回確認する
関税と手数料は別もの
混同しやすいので、費目を分けて整理する。関税は「輸入する行為」に、手数料は「検査する作業」にかかる。 課金の単位も違うため、同じ小包でも足し算の仕方が変わる。
| 費目 | 課金の単位 | 状態 | 実務での扱い |
|---|---|---|---|
| 定額関税 | HS6の分類ごと | 導入済み | 品目数で増える |
| 取扱手数料 | 未公表 | 11月1日までに | 金額は未確定 |
| 各国の先行課金 | 国ごとに異なる | 実施中 | 仕向け国で変わる |
「1個あたり3ユーロ」と読むと、計算を間違える。 課金は分類単位なので、1つの小包に3種類の商品が入れば3倍になる。この点は3ユーロ定額関税の記事で詳しく整理している。
金額はまだ確定していない
業界では2ユーロ程度という見方が有力で、3ユーロの関税と合わせて申告明細1行あたり約5ユーロという試算もある。ただし、正式な金額は欧州委員会が適用開始前に決める段階で、確定値ではない。
ここで大事なのは、確定前に価格改定まで進めないことだ。手数料が2ユーロか3ユーロかで、低単価商品の採算は逆転する。社内資料には「未確定」と書き、確定後すぐ動けるように試算だけ用意しておく。
国によってすでに負担が違う
EU共通ルールの前に、各国が独自に動いている。同じEU域内でも、いまの負担は同じではない。
EU共通ルールに先行した各国の課金
- 01フランス(2026年3月1日〜)150ユーロ以下の貨物にHS6細分ごと2ユーロ。共通ルール開始で自動終了
- 02ルーマニア(2026年1月1日〜)150ユーロ以下の貨物に1小包5ユーロ。自動終了の仕組みなし
- 03イタリア2026年度予算で2ユーロを成立。運用の技術指針は未公表
- 04ベルギー2ユーロを検討したが、EUレベルの関税に委ねる判断
フランス向けとルーマニア向けを同じ原価で計算していると、ルーマニア側で利益が消えている可能性がある。 先行課金のある国は、いまの負担で試算し直す。
背景にある数字
制度の狙いは増税ではなく、安全基準を満たさない商品の流入を止めることだ。数字を見ると、その規模が分かる。
- 59億件:2025年にEU消費者へ直送された低額貨物(2024年は約46億件)
- 約91%:そのうち中国発の割合
- 約10億ユーロ:改正で見込まれる年間の関税増収
検査した低額貨物のうち、化粧品・玩具・電子機器などでは過半数がEUの安全基準を満たしていなかったと報告されている。価格だけでなく、製品コンプライアンスの側も同時に問われる。
原価計算のやり直し方
やることは単純だ。SKUごとに「仕向け国別の着地コスト」を持ち、関税と手数料を別の列にする。 1つの列にまとめると、制度変更のたびに全部を計算し直すことになる。
低単価商品ほど影響が大きい。1個500円の商品に5ユーロ(約800円)が乗れば、赤字になる。 単価が低いSKUは、EU向けの販売を続けるかを制度の確定後に判断する。
よくある質問
3ユーロの定額関税と、小包取扱手数料は何が違いますか。
関税は輸入する行為に、手数料は検査する作業にかかります。課金の単位も違うため、同じ小包でも足し算の仕方が変わります。
EU共通の手数料は、もう金額が決まっていますか。
決まっていません。業界では2ユーロ程度が有力ですが、正式な金額は欧州委員会が適用開始前に決める段階です。
原価計算では、まず何をすればいいですか。
SKUごとに仕向け国別の着地コストを持ち、関税と手数料を別の列にしてください。1つの列にまとめると、制度変更のたびに全部を計算し直すことになります。
HSコードの調べ方はHSコードとはに整理した。
まとめ:今週やること
手数料に備える順番
- 01費目を分けて記録する関税と手数料は別
- 02先行課金の国を洗い出すフランス・ルーマニアなど
- 03SKU別の着地コストを更新する仕向け国ごとに
- 04低単価SKUの採算を見る影響が最も大きい
- 05確定情報を月1回確認する金額と開始日
EU向けの通関コストの試算は、サービスページで相談できます。
※数字の出典:https://taxation-customs.ec.europa.eu/customs/eu-customs-reform_en